開講情報

教養としての芸術学

A2ターム(火曜2限・金曜2限)「芸術を言語化する」実施内容

ガイダンスおよび第1回授業

日程:2017年11月21日(火)2限(10時25分〜)
場所:KOMCEE West K501教室

授業趣旨

全学自由研究ゼミナール「教養としての芸術学」は、芸術に関する講読や創作体験を通して、芸術を座学と実践の両面から学ぶ姿勢を身につけるための授業です。

2017年A2タームでは、芸術を能動的に理解するための方法として、芸術を言語化し文章として表現する練習を行います。具体的には美術や音楽、演劇等を鑑賞して批評を実際に執筆し、グループでブラシュアップした上で冊子としてまとめることを目指します。



  • 【シラバス変更事項】今学期、映画に関するワークショップは行いません。
  • 受講人数を 20 名程度に制限します。受講希望者は必ずガイダンスに参加してください。
  • 指定した作品を授業内外で鑑賞する課題があり、一部チケット購入の費用が発生します。
  • 授業の内容は進捗状況、理解度に応じて一部変更することがあります。
  • 授業外でグループでの作業が発生することがあります。

ゲスト講師略歴&ワークショップ内容

美術ワークショップ

横山 由季子 Yukiko Yokoyama

国立新美術館アソシエイトフェロー

東京大学大学院博士課程(表象文化論)満期退学、世田谷美術館学芸員、パリ西大学ナンテール・ラ・デファンス校(美術史)留学を経て現職。専門はフランスを中心とした近現代美術。これまでの主な担当展に、「ザ・コレクション・ヴィンタートゥール展」(2010年)、「オルセー美術館展 印象派の誕生―描くことの自由―」(2014年)、「オルセー美術館・オランジュリー美術館所蔵 ルノワール展」(2016年)、「ジャコメッティ展」(2017年)など。首都大学東京で非常勤講師も務める(2014年-)。

【美術1】
<展覧会批評の可能性>

現在の東京では、非常に多くの展覧会が開かれていますが、会期が終わってしまうと空間としては何も残りません。展覧会の批評を書く/読む行為は、そんな一過性の展覧会が閉幕した後も、議論を深め、新たな視点を発見していくきっかけとなります。実際に展覧会を見て批評を書くにあたり、展覧会はどのような経緯で開催されるのか、また過去に開かれた展覧会とその批評を紹介しながら、展覧会を見るときのポイントや、展評を書くことの可能性について、みなさんと議論したいと思います。

【美術2】
<国立新美術館「安藤忠雄展-挑戦-」鑑賞>

国立新美術館で開催されている建築家・安藤忠雄氏の展覧会を見に行きます。ただ見るのではなく、展覧会構成や展示方法の工夫について、会場内で意見を交わしながら、会場をめぐります。その経験をもとに、各自展評を執筆してもらいます。

【美術3】
<ワークショップと小括>

各自執筆した展評をもとに、グループに分かれて、ワークショップを行います。他の人がどんな視点で展覧会について書いているのか、意見交換を行いながら、自身の批評をブラッシュアップします。最後に、展評を通じて何を伝えることができるのか、もう一度考えてみましょう。

演劇ワークショップ

堀切 克洋 Katsuhiro Horikiri

演劇評論家

1983年福島市生まれ。専門はアントナン・アルトー研究、舞台芸術論、表象文化論。東京大学大学院総合文化研究科にて学び、現在は千葉大学、慶應義塾大学などで教鞭をとりながら、「日本経済新聞」などに劇評を執筆。第17回シアターアーツ賞・大賞受賞。俳人としても活動し、第8回北斗賞受賞。

【演劇1】
<舞台を観るということ、書くということ>

舞台を見るという経験は、絵画や映画を見る経験とどのように質的に違っているのでしょうか。あるいは、それを言葉にするという作業には、どのような困難が伴うのでしょうか。講師がこれまでに経験してきたことをもとに、受講者のみなさんと考えていきたいと思います。

【演劇2】
<劇評を書く・劇評を読む>

同じ舞台を見ても、解釈が違ったり、評価が違ったりするのは当然ですが、しかし「いい」劇評には何か共通点があるのでしょうか。いくつかのグループに分かれて、意見交換をしてもらい、各グループの発見を最後に発表してもらいます。

【演劇3】<小括>

劇評を書くことを通じて、もしかしたら舞台を見ているときにはわからなかったことが理解できるようになったかもしれません。あるいは逆かも。受講者のみなさんに書いていただいた劇評に対するコメントをもとに、ふたたび舞台を「見ること」と「書くこと」の困難について考えてみたいと思います。


  • 鑑賞作品:ハロルド・ピンター『管理人』(シアタートラム)を観劇。日程はガイダンス時に①11月27日(月)19時、②11月29日(水)19時、③12月6日(水)19時、④12月8日(金)19時、のいずれかで調整します。

音楽ワークショップ

松平 あかね Akane Matsudaira

音楽評論家

「読売新聞」にてクラシック音楽評を担当。演奏会のプログラムノートやエッセイの執筆、雑誌への寄稿をしているほか、音楽賞などの選考委員を務める。現在、神奈川芸術財団外部評価員、「年刊ワーグナーシュンポシオン」編集委員、日本ワーグナー協会事務局長。第一回一柳慧コンテンポラリー賞受賞。

【音楽1】
<音楽批評、実践のために>

音楽を言語化するための予備知識、心がまえなどを養います。批評文と感想文の違い、客観的事実と感覚の言語化、評者としてのポリシーなど、実践につながる視点を私自身の経験に基づいてお話しします。

【音楽2】
<分析とワークショップ1 実際に書くための予備訓練。読み方と書き方。>

実例の検証 -- プロの書き手による批評を分析します。
実施 --DVD を視聴後、800 字の批評を書いてみます。原稿執筆ができる PC を持参してください。書きあがった作品は次回の授業で受講者同士で回覧しますので、4部プリントアウトしておいてください。

【音楽3】
<ワークショップ2 自分の文章を客観的に見る。>

ブラッシュアップ -- 各自が持ち寄った批評文 2 本をグループ内で回覧し、コメントをつけ合います。執筆者はコメントを読み、必要があれば修正を行います。


  • 鑑賞作品:新国立劇場「「ばらの騎士」11月30日(木)18 時、12月3日(日)14時、12月6日(水)14時、12月9日(土)14 時を各自手配して鑑賞。都合がつかない場合は他の演奏会評でも可。

スケジュール

A2ターム

11月21日(火)2限

ガイダンスと導入セミナー

11月28日(火)2限【美術1】

展覧会批評の可能性

12月1日(金)2限【美術2】

国立新美術館「安藤忠雄展-挑戦-」鑑賞

12月5日(火)2限【美術3】

ワークショップと小括

12月8日(金)2限【演劇1】

舞台を観るということ、書くということ

12月12日(火)2限【演劇2】

劇評を書く・劇評を読む

12月15日(金)2限【演劇3】

小括

12月19日(火)2限【音楽1】

音楽批評、実践のために

12月22日(金)2限【音楽2】

分析とワークショップ1 実際に書くための予備訓練。読み方と書き方。

12月26日(火)2限【音楽3】

ワークショップ2 自分の文章を客観的に見る。

1月5日(金)2限

冊子作成(1)

1月9日(火)2限

冊子作成(2)

1月16日(火)2限

冊子作成(3)、授業の総括

参考文献

美術

『アート・リテラシー入門―自分の言葉でアートを語る―』フィルムアート社、2004年
杉原賢彦『アートを書く!クリティカル文章術』フィルムアート社、2006年
シルヴァン・バーネット『美術を書く』東京美術、2014年
「安藤忠雄展―挑戦―」カタログ、安藤忠雄展建築展実行委員会、国立新美術館、2017年


演劇

とくに設けないが、観劇前に「管理人」(『ハロルド・ピンター全集』第2巻、喜志哲雄・小田島雄志訳、新潮社、2005年)を読んでおくことが望ましい。


その他、授業中に指示する。



A1ターム(火曜2限・金曜2限)「理論と実践から芸術を学ぶ」実施内容

ガイダンスおよび第1回授業

日程:2017年9月26日(火)2限(10時25分〜)
場所:KOMCEE West K501教室

授業趣旨

全学自由研究ゼミナール「教養としての芸術学」は、芸術に関する講読や創作体験を通して、芸術を座学と実践の両面から学ぶ姿勢を身につけるための授業です。

2017年A1タームでは演劇と音楽を対象として、作品や理論などの資料を読み込む演習と実際に創作を行う実践ワークショップを行います。実施にあたり第一線で活躍する学外のゲスト講師からの協力を得て開講します。演劇や音楽の実技経験は不問です。

  • 受講人数を 20 名程度に制限します。受講希望者は必ずガイダンスに参加してください。
  • 授業の内容は進捗状況、理解度に応じて一部変更することがあります。
  • 授業外でグループでの作業が発生することがあります。

ゲスト講師略歴&ワークショップ内容

西尾 佳織

劇作家、演出家、鳥公園主宰

劇作家、演出家、鳥公園主宰。幼少期をマレーシアで過ごす。東大表象文化論卒業、東京芸大芸術環境創造科修了。2007年に鳥公園を結成以来、全作品の脚本・演出を担当。「正しさ」から外れながらも確かに存在するものたちに、少しトボけた角度から、柔らかな光を当てようと試みている。

演劇ワークショップ

自分の内側のもやもやした感覚を、外に引っ張り出してみる。それをしげしげ眺めてみる。

なんとなく芸術に興味があるんだけれど、どう関わったらいいか分からない、自分が作品をつくるのは恐ろしいような気がする……という人は、来てくれたらいいかもしれません。14年前、私もそんな学生でした。この講義では、作品を観ること、言葉にすること、つくることをやります。世の中にある、「作品」と呼ばれていて、どうもそうらしいものと、自分の中にある「何かをつくりたい(ような気がする)」との間から、始めます。

野口 桃江

現代音楽作曲家

桐朋学園大学音楽学部 作曲理論学科卒業。同大学研究科修了。仏リヨン国立高等音楽院にて電子音響とオーケストレーションを学んだ後、蘭デン・ハーグ王立音楽院 ArtScience学科修士課程修了。現代音楽をベースに、光、映像、センサー等を用いた作品制作とパフォーマンスを世界各所で行っている。

音楽ワークショップ

楽譜のアルケオロジーと共感覚的ワークショップ

講義ごとに「楽譜のアルケオロジー」「共感覚的表現」「音律」「アポロとディオニュソス」などのテーマを設け、古楽、現代音楽、民族音楽、ポピュラー音楽、サウンドアートなど多様なジャンルからなる作品群とその理論、美学的背景について紹介します。また、それらの作品や手法の実演、及びコンテクストを発展させる、諸感覚を研ぎ澄ませる、作品制作など、身体をとおして思考を深めていくことを目的としたワークを行います。

スケジュール

A1ターム

9月26日(火)2限

ガイダンスと導入講義

9月29日(金)2限【演劇1】

作品を見て、感じたことを言葉にしてみる。そこからさらに、別の形に置き換える。
(鑑賞:鳥公園『蒸発』記録映像)

10月3日(火)2限【演劇2】

「作品」はどこにあるか?
(資料講読:宮沢章夫『時間のかかる読書』、太田省吾『プロセス』、鈴木志郎康『結局、極私的ラディカリズムなんだ』)

10月6日(金)2限【演劇3】

自分の思い出の品について語る。他人の思い出を、自分のこととして語る。
(鑑賞&資料購読:転形劇場『小町風伝』)

10月10日(火)2限【演劇4】

知覚を微分する。

10月13日(金)2限【演劇5】

駒場キャンパスの中で、サイトスペシフィックな小作品をつくってみる。

10月17日(火)2限【演劇6】

作品発表と小括

10月20日(金)2限【音楽1】

現代音楽 - サウンドアート概論 / 耳を啓く

10月24日(火)2限【音楽2】

楽譜のアルケオロジー / 倍音, 音律, 音階

10月27日(金)2限【音楽3】

クラシック音楽~メディアアート作品における共感覚的表現

10月31日(火)2限【音楽4】

アポロ的芸術とディオニュソス的芸術 

11月7日(火)2限【音楽5】

個人, またはグループによる小作品制作

11月10日(金)2限【音楽6】

作品発表と総括

参考文献

演劇ワークショップ

宮沢章夫『時間のかかる読書―横光利一『機械』を巡る素晴らしきぐずぐず』 河出書房新社、2009年
太田省吾『プロセス 太田省吾演劇論集』 而立書房、2006年
鈴木志郎康『結局、極私的ラディカリズムなんだ―鈴木志郎康表現論エッセイ集 (Le livre de luciole)』 書肆山田、2011年


音楽ワークショップ

マリー・シェーファー『世界の調律 サウンドスケープとはなにか』鳥越けい子他訳 平凡社、2006年
マリー・シェーファー『サウンドエデュケーション』鳥越けい子他訳 春秋社、1998年
フリードリヒ・ニーチェ『悲劇の誕生―ニーチェ全集〈2〉』塩屋竹男訳 ちくま学芸文庫、1993年
ジャン=ジャック・ナティエ『音楽記号学』足立美比古訳 春秋社、2005年
北村紗衣『共感覚から見えるもの -アートと科学を彩る五感の世界』 勉誠出版、2016年

教養としての芸術学へのお問い合わせ

y.okamoto[at]komex.c.u-tokyo.ac.jp

東京大学教養教育高度化機構 社会連携部門 岡本(おかもと)