2024年度Aセメスター水曜5限
デジタル化によって、いま世界は目まぐるしく変化しています。昨日まで知らなかったサービスが突然現れ、私たちの生活を根底から変えることもあります。
例えば、「生成AI」は2022年にリリースされたChatGPTを皮切りに、様々なサービスが生まれています。生成AIの1つのChatGPTに、「生成AI」について聞いてみると、「生成AIは、機械学習の一分野であり、新しいデータを作り出すことができる技術です。例えば、絵や音楽の自動生成が可能です。従来のAIは与えられたデータから予測や分類をするのに対し、生成AIは新しいデータを作り出すことができる点が異なります」と教えてくれます。
全国大学生活協同組合連合会の第59回学生生活実態調査(2023年)によると、ChatGPTなどの文章生成系AIを47.6%の学生が利用した経験があり、28.9%の学生が継続利用しています。もちろんビジネスの世界でも、生成AIを業務や新サービスに取り入れる活動が活発化しています。みなさんが社会に出るころには、「生成AIがなかった世界が信じられない」と思うほど、世の中に浸透したサービスになっているでしょう。
驚くべきスピードで新商品・サービスが生まれる現代は、「正解がない不確実な世界」といえます。大企業だからといって、必ずしもヒット商品・サービスが生まれるわけではありません。アクセンチュアの調査によると、新規事業の立ち上げに成功したと躊躇なく言える経営幹部は、わずか6%にとどまっています。
それでは正解がない不確実な世界で、成功する新商品・サービスを生み出すためには、どうすればよいのでしょうか?その答えの1つとして、ユーザ視点での課題・インサイト(潜在的な欲求)の見極めと、新商品・サービスを素早く市場投入する仕組みを活用できることが重要です。
私たちアクセンチュアは、世界有数の総合コンサルティング企業として、世界中の様々な企業と一緒に、新しいサービスをビジネスとして実現させてきました。その経験と実績を活かし、本授業では、初学者を対象に、アクセンチュアの現役コンサルタントと共に、新商品・サービスを生み出すプロセスを身に付けることを目的としています。
具体的には、課題・インサイトを抽出・深掘りし、デザインシンキングという手法で“今ほしい未来”の新しいアイデアを生み出します。そしてそのアイデアをもとに簡易プロトタイプ(検証のためのサービス・もの)を素早く作成・検証し、最終発表ではストーリーテリング(ビジネスを「物語」を通して表現する手法)を活用して、実際の企業の方へプレゼンします。
・コンサルティング
・インサイト抽出・深掘り
・デザインシンキング
・アイディエーション
・プロトタイプ検証
・ビジネスソリューション
・サービスデザイン
・ストーリーテリング
・プレゼンテーション
・課題を客観的に分析する手法を学ぶことで、インサイトを抽出・深掘りする
・デザイン思考を学び、UX(ユーザ体験)、ビジネス、テクノロジーなどの視点を踏まえてソリューションを考える
・最適なプロトタイプを素早く作り、ユーザ評価を的確に分析・反映する手法を学び、実践する
・ストーリーテリングをもとに人を説得する技術を学び、発表する
・グループマネジメントやグループコミュニケーションを通じて、ビジネスにおけるコラボレーション力を向上させる
・「私たちが今ほしい未来は何か?」という正解がない「問い」に対して、自分なりの解をみつける技法を学ぶことで、不確実な世の中も楽しめるようになる。
講義、グループワーク、発表等
回 | 日 | 内容 |
1 | 10/2 | ガイダンス ・ゼミに関する説明(目的・目標、進め方、スケジュール、評価方法) ・講義 |
課題・インサイトの抽出
2 | 10/9 | ビジネス視点の課題を考える ⇒各業界エキスパートによるビジネス課題講義 |
3 | 10/16 | 課題・インサイトを抽出する① ⇒業界ごとにビジネス課題を深掘りし、インサイトを抽出 |
4 | 10/23 | 課題・インサイトを抽出する② ⇒ロジカルシンキング講義・演習(“Why Tree/What Tree”) ⇒本質的課題の絞り込み |
5 | 10/30 | 課題・インサイトを抽出する③ ⇒本質的課題の発表・見直し |
アイディエーション
6 | 11/6 | 今ほしい未来の仮説を考える① ⇒デザインシンキング講義・演習(“How Might We”の設定) |
7 | 11/20 | 今ほしい未来の仮説を考える② ⇒ デザインシンキング演習(ソリューションアイデア検討) |
アイデアのブラッシュアップ
8 | 12/4 | 業界エキスパートに発表する アクセンチュアの業界エキスパートにアイデアを発表 |
9 | 12/11 | 今ほしい未来の仮説を考える③ ⇒発表へのフィードバックをふまえたアイデアのブラッシュアップ ⇒PoC講義・計画 |
アイデア検証
10 | 12/18 | 検証準備をする ・検証計画の作成 ・簡易プロトタイプの製作 |
11 | 12/25 | アイデアを検証する ・検証の実施 ・検証結果の分析 |
ゲストへの最終発表
12 | 1/8 | 最終発表の準備をする ・プレゼンテーション講義 ・検証結果のまとめ・発表準備 |
13 | 1/15 | ゲストへの最終発表 ・ゲスト(外部のビジネスパーソン)への発表・フィードバック受領 ※受講者数により授業時間を延長する可能性あり |
特になし
特になし(必要に応じて講義ごとに提示)
◎振り返りフォーム(80%)
…各回で学んだ知識、概念、理論に関する簡単な復習。疑問点や感想も書いてください。
◎発表(20%)
…第13回授業で発表を行います。教員(10%)、アクセンチュア社員(10%)。評価基準は以下の通りです。
<評価基準>
準備への貢献(各チーム担当のアクセンチュア社員が評価)
・チームワークへの貢献:授業の中でチームメンバーと交流し、チームワークの向上に寄与する。また、チームにとって有益と思える内容は、積極的にフィードバックを行うことができる。
・アイデア出しへの貢献:多様な視点を持って活動に参画し、自分のアイデアを話すことができる。また他者からの意見を取り込むことで、アイデアを進化させることができる。
・アウトプットへの貢献:グループワークに順応するとともに、新たな、または不慣れなタスクにも積極的に取り組むことができる。また、与えられたパートのタスクについて期日を守ってこなすことができる。
発表への貢献(教員、アクセンチュア社員が評価)
・内容のわかりやすさ:ストーリーテリングの手法で、伝えたいことを簡潔にわかりやすく話すことができる。
・話し方の適切さ:聞き手を意識して、はっきりした発音で話すことができる。
また発表時間を大幅に超えないようにコントロールできる。
・質疑応答のわかりやすさ:質問者の意図を理解して、受け答えができる。
質問内容がわからない場合は、質問者に質問して内容を確認することができる。
・講義前半でグループを編成し、その後はグループワーク中心となるため、参加者全員に講義へのコミットを求めます。体調不良などのやむを得ない事情による欠席を除き、すべての回に出席してください。
・初学者向けのため、事前の関連知識は特に必要ありませんが、グループワークへの積極的な参加が求められます。
・プレゼンテーションを実施する講義の前には、その準備を宿題とします。また、講義時間内に課題が終わらなかった場合も、終わらなかった範囲を宿題とする可能性があります。
・20名程度(1-2年生が主対象、3-4年生も若干名参加可能です)
・履修を検討している方は初回のガイダンスに必ず出席してください。
ガイダンス終了後、履修希望の方はアンケートに記入をお願いします。
・希望者が20名を大きく上回る場合には、アンケート内容をもとに選抜する可能性があります。
履修者の決定は第2回講義までにメールにてお知らせします。
東京大学教養学部 准教授
髙橋 史子 takahashi@g.ecc.u-tokyo.ac.jp
Slack:受講決定者にお知らせします。
1名予定
特になし
日本語
アクセンチュア株式会社
髙橋史子
(東京大学大学院総合文化研究科・准教授)
takahashi[at]g.ecc.u-tokyo.ac.jp([at]を@に書き換えてください)
総合文化研究科 准教授 髙橋 史子