刑務所に関する課題への解決方法について政策立案ワークショップを通じて具体的に考えてみませんか?
現在,刑務所出所者の社会復帰が大きな社会課題になっている。現在の刑務所の実情と課題を学んだうえで,特に障害を持つ出所者の実情と課題について学び,様々な立場の人とどのような社会復帰の在り方があるかを考える。受刑者における障害を有している者の割合の高さについても重要な課題の一つである。社会復帰の際,社会がどのように関わっていくかということを地域住民の視点、コミュニティにできることという観点から考え,政策立案の形のワークショップを実施する。本講義は集中講義であり,千葉県内,東京都23区外の矯正施設の見学も含めた複数日にわたる集中講義である。
授業の目的:障害を有する受刑者の社会復帰というテーマを中心にとりあげる。受刑者の一定数に障害を有する者がいるという実情について社会構造の観点からも考察し,今後の社会復帰に向けた働きかけに社会が何ができるかを考える。刑事司法制度の課題について実際に支援に携わるゲスト講師の講話や対話をもとに考える。ゲスト講師として刑事司法,司法福祉などに携わる実践家を中心に,問題を知り,考える。実際に福祉的取り組みを拡充させている府中市の府中刑務所,市原市の市原青年矯正センターについて施設参観も行う。その上で,ゲスト講師と共に政策立案ワークショップを行う。政策立案ワークショップではロジックモデルの考え方を軸として,課題を整理して,自分たちの考える解決策を立案していくことを体験する。
授業スケジュールはオンラインオリエンテーション(1月21日)と4日間(2月12日から20日のうち5日間)です。日によって実施場所が異なりますのでご注意ください。
1日目(1/21) 19:00~ 90分 | @オンライン 授業について、刑事司法の基礎知識①と事前課題の説明 |
2日目(2/12) ①10:30~12:00 ②13:00~14:30 ③14:40~16:10 ④16:20~17:50 | @駒場キャンパス ①刑事司法の流れ,グループアイスブレイク,犯罪に至るまで① ②犯罪に至るまで② ③障害を持った人の社会復帰支援とその課題 ④障害を持った人の社会復帰支援とその課題 |
3日目(2/17) 13:30~15:30 | @市原青年矯正センター(千葉県市原市) 市原青年矯正センターの見学 |
4日目(2/18) ①9:00~11:00 ②13:30~15:30 | ①@駒場キャンパス 政策立案グループワーク①社会復帰にむけたコミュニティの変容 ②@府中刑務所(東京都府中市) 府中刑務所の見学 |
5日目(2/19) ①10:30~12:00 ②13:00~14:30 ③14:40~16:10 | @駒場キャンパス ①政策立案グループワーク②社会復帰にむけたコミュニティの変容:アイデアのロジックモデル作成とアイデアの練りこみ ②政策立案グループワーク③社会復帰にむけたコミュニティの変容:アイデアの練りこみ ③90政策立案グループワーク④社会復帰にむけたコミュニティの変容:プレゼンテーション準備 |
最終日(2/20) 13:00~15:00 | @駒場キャンパス プレゼンテーションとまとめ |
・講師による講義
・グループワークを中心としたアクティブラーニングを取り入れます。積極的に参加してください。特にワークショップでは自分たちの考えを形にしていく,協働しながら形にするということも体験して学びます。
・グループワークなどに配慮が必要な場合は個別に教員と調整を行います。
・フィールドワークの場所となる府中刑務所と市原青年矯正センターの最寄り駅までの交通費は自費となりますのでご注意ください。見学の際には刑事施設の見学ということで注意事項があるため,注意事項を遵守してください。
<成績評価>
・授業への出席・議論への参加
・見学前課題
・リアクションペーパー
・1度目のガイダンス出席は必須です。他の授業と重複して受講できない場合は事前に講師まで必ず連絡してください。
・フィールドワークの場所となる府中刑務所と市原青年矯正センターの最寄り駅までの交通費は自費です。見学の際には刑事施設の見学ということで注意事項があるため,注意事項を遵守してください。
・成績の発表については講義終了後となるため注意してください。
・履修希望者が20名を超えた場合は受講動機などによる選抜を実施します。
・過去に「塀の向こうには誰がいるのか:司法の多角的理解」を受講しているとより理解が深まりますが,必須ではありません。
こちらの授業は施設見学の関係で人数制限があるため選抜を行う可能性があります。選抜については,履修登録期間前に実施するため,LMSをチェックするようにしてください。
皆さんにとって刑務所とはどんなイメージでしょうか。
刑務所がソーシャルイノベーションとどう繋がるのか?と思われるかもしれません。
一見全く結びつかないような物事や出会いから新しい物事は生まれます。
過去に刑務所は、世間から隔絶していた空間であることが指摘されたこともありました。近年では、犯を犯した人を社会から隔離するだけではなく、罪を犯した人が再び社会の中で罪を犯さずに暮らせるような再犯防止の取り組みも拡充しています。
同時に、近年では地方自治体や民間企業と多くの協働した取組が行われています。さらに、再犯防止だけでなく、「刑務所を地域のリソース」と捉え、地方の社会課題に刑務所や受刑者と共に取り組むことで、再犯防止と社会課題を同時に解決し、地方創生を目指すという取組も行われています。そこには、地方自治体や国という官公庁だけでなく、社会課題の解決に取り組む民間企業やNPO法人など民間のプレイヤーが参画しています。
この授業では複数回、官公庁や民間企業、NPO法人の方など様々な立場のゲスト講師によって講義やワークを行います。具体的な刑務所所在地における社会課題(地域課題)をひとつ取り上げ、セメスターをとおして、官公庁や民間企業など様々な立場の人の講話や対話を通じ、グループになりその社会課題の解決案を考えます。授業の最終回にプレゼンテーションを行います。
ある社会課題について産学官が連携して新しい事を作るというプロセスを体験することは、再犯防止以外の分野にも活きることがあるはずです。
良いアイデアは実際に、現場で実装される可能性もあるので、是非、一緒にソーシャルイノベーションを作り上げる過程を体験してみませんか。
・履修希望者が40名を超える場合は、エントリーフォームの記載項目による選考を行うことがあります。
・基本的に全ての回に出席してください。
・特にゲスト講師がいらっしゃる回には遅れないように参加してください。
・欠席の場合には授業日午前10時までに欠席届を提出してください。特に10月19日は必ず参加してください。10月19日は19時から22時となります。
・連絡事項及び資料共有は、メールあるいはGoogleドライブなどで共有します。
・事前に資料を読むといった課題がでることがありますので、課題に取り組んでください。
・この授業に関連したイベントが10月21日(土)午前に開催予定です。参加は必須ではありませんが、積極的にご参加ください。
イベントはコチラ
http://www.sr.komex.c.u-tokyo.ac.jp/%e3%80%90%e5%85%a8%e5%ad%a6%e8%87%aa%e7%94%b1%e7%a0%94%e7%a9%b6%e3%82%bc%e3%83%9f%e3%83%8a%e3%83%bc%e3%83%ab%e3%80%8c%e5%a1%80%e3%81%ae%e5%90%91%e3%81%93%e3%81%86%e3%81%ab%e3%81%af%e8%aa%b0%e3%81%8c/
第1回(10/5) 90分 | オリエンテーション、日本の犯罪の動向、刑務所の取り組みの概要 |
第2回(10/12) 90分 | 官民連携による再犯防止と地域課題の紹介① |
第3回(10/19) 180分 | 官民連携による再犯防止と地域課題の紹介② 架空事例とデータから「見える」犯罪と刑務所 |
第4回(10/26) 90分 | アイデアを形にする方法 |
第5回(11/2) 90分 | ロジックモデルと政策評価 |
第6回(11/9) 90分 | NPOと社会課題 |
第7回(11/16) 90分 | 民間企業の社会課題への取組(1) |
第8回(11/30) 90分 | 民間企業の社会課題への取組(2) |
第9回(12/7) 90分 | 中間発表 |
第10回(12/14) 90分 | ESGとウェルビーング |
第11回(12/21) 90分 | 見せ方について |
第12回(1/11) 90分 | プレゼンテーションとまとめ |
yamaokaa[at]g.ecc.u-tokyo.ac.jp
教養教育高度化機構 社会連携部門 山岡あゆち