芸術と社会をつなぐ役割を担うアートマネジメントには、多岐にわたる能力が求められます。中でも企画力は、コロナ禍を経て新たな社会的フェーズを迎えた現在、イベント実施の意義そのものをより一層明確に提示する必要がある為、今後さらに重要となっていく能力であると考えられます。
そして、企画を考えるプロセスとは、社会と芸術との関係のみならず、それらと自分自身との繋がりをも俯瞰しつつ、興味と関心を掘り下げていく必要のある、まさに「教養」の問われる知的営為とも言えるでしょう。
本授業は、社会の一線で企画づくりに携わって来たプロフェッショナルを講師に迎え、実体験に基づくレクチャーの他、グループワークを通じて企画立案に必要な資質、構成力、発信力を学びます。最終成果発表では、グループ毎に企画を立案し、企画書の作成・ブラッシュアップからプレゼンテーションまでを行います。以上の様な実践を通して「企画を創る」ことを共に考え学び、これからの時代の「教養」としての企画力を身に付けることが、本授業の目標となります。
鐘ケ江織代 KANEGAE Oriyo
株式会社しろばら百藝社代表取締役。桐朋学園大学卒業(音楽学)。滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール、京都コンサートホールの各事業課を経て、トーキョーワンダーサイト(現トーキョーアーツアンドスペース)では「若手のための現代音楽企画ゼミ」を企画するなど、コンサートやワークショップの企画・制作、若手クリエーターの育成・支援事業等に携わる。その後,青山学院大学大学院社会情報学研究科博士前期課程ヒューマンイノベーションコースにて質的研究を学び、2020年3月修了(学術)。国立音楽大学、東京大学でアートマネジメントの講義を行う。音楽、舞台芸術、現代アートにおけるプランナー、制作、教育・育成、コーディネーター、リサーチャーのキャリアを活かした独自のアートマネジメントを展開している。2023年5月より現職。
山本和智 YAMAMOTO Kazutomo
独学で作曲を学ぶ。オーケストラ、室内楽、アンサンブル、合唱、独奏曲、映画音楽など作曲活動は広範にわたり、2006年モリナーリ国際作曲賞第1位(カナダ)、2009年度武満徹作曲賞第2位等受賞多数。
作品は国内外問わず高く評価されており、その作品は多くの優れた団体、芸術家によって広く演奏されている。2009年より『特殊音樂祭』をプロデュース。現代音楽ファンのみならず多くの聴衆を獲得し注目度の高いイベントへと成長させた。今後も、作曲・プロデュースの両面で活躍が期待されている。和光大学表現学部総合文化学科非常勤講師。
眞崎光司 MASAKI Koji
明治大学国際日本学部特任講師。青山学院大学大学院社会情報学研究科博士後期課程修了。博士(学術)。専門は教育工学、学習科学。 大学卒業後、大学図書館に勤務し、大学生がワークショップや展示の形で自らの学習機会を創出することができる空間 (ラーニング・コモ ンズ) のデザインと運営を担当した。平行して社会人大学院にて、自主的な学習活動を継続的に行っている大学生のコミュニティを調査し、参加者の主体性の形成過程を研究した。 2020年よりパレイドリアンで現代音楽の普及活動や作曲家の創造性に関する研究に取り組んでいる。
【ゲスト審査員】船越理恵 FUNAKOSHI Rie
博士(Ph.D.)・MBA 。東京藝術大学大学院音楽研究科博士課程音楽文化学領域修了。アーツカウンシル東京 シニアプログラムオフィサー(音楽分野)、東京藝術大学専門研究員。主要な研究テーマは、音楽活動にみる社会的機能性と役割、子どもの居場所づくりと芸術実践、演奏家の生涯発達。
【ゲスト審査員】石橋鼓太郎 ISHIBASHI Kotaro
博士(Ph.D.)東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科アートプロデュース専攻博士後期課程修了。東京藝術大学 大学院国際芸術創造研究科専門研究員アーツカウンシル東京 芸術文化調査員(プログラムオフィサー/音楽分野)。多様な背景を持った人々の共在を可能にする音楽実践のアートマネジメントやファシリテーションの手法について実践的に研究している。
※授業の趣旨および受講の為の条件の説明と、履修者選抜のためのアンケートを行いますので、履修希望者は必ず出席してください。
企画を生み出すためには? 企画を立案するために、何から着手すれば良いのか? はじめの一歩を踏み出すための手がかりとなる心構えや思考を、レクチャーとワークから学びます 。
講師:鐘ケ江織代
作曲家・プロデューサーとして活躍するゲスト講師の話から、企画力に必要な視点・発想・創造について学びます。
講師:山本和智(作曲家)、鐘ケ江織代
企画立案および企画書制作に必要な視点・ポイントについて学びます。
講師:眞崎光司(学習デザイン研究者) 鐘ケ江織代
グループワークの足掛かりを意図したワークショップを体験します。
講師:パレイドリアン(山本・眞崎・鐘ケ江)
企画案がある受講生は現時点での内容をポスターにまとめ発表します。
それを元にグループ決めを行います。
講師:鐘ケ江織代
グループワークで作成した企画書をもとに、10分間のプレゼンテーションを準備します。
講師:鐘ケ江織代
企画書をもとに、企画内容を10分間のプレゼンテーションで発表します。受講生は発表者と審査員それぞれの役割を経験し、フィードバックし合うことで、企画の内容をブラッシュアップします。
講師:鐘ケ江織代
講師:鐘ケ江織代
審査会を想定した中で、プレゼンテーションします
講師:鐘ケ江織代、ゲスト審査員〔船越理恵・石橋鼓太郎(アーツカウンシル東京 リサーチ・プログラム・オフィサー)〕
企画の実施に向けた予算書、スケジュール、広報等具体的な内容について学びます。
講師:鐘ケ江織代
これまでの内容を踏まえて企画書を完成させ、具体的なアクションプランを作成します。
講師:鐘ケ江織代
講師:全員
学期の終了後も、当授業は皆さんの企画の実現へ向けてバックアップを行います。以下は、元履修生の有志によって実現された企画の一部です。
yamakamiy[at]g.ecc.u-tokyo.ac.jp
教養教育高度化機構 社会連携部門 山上揚平