教養学部生のための
キャリア教室

キャリア教室1・Aセメスター

これからの時代をどう生きるか。

キャリア教室1:これからの時代をどう生きるか。

授業概要

 グローバル化・高度情報化・高齢化といった変化が日本を含む世界各国の社会や経済を揺さぶり、これからの時代はますます複雑で不確実性の高い時代になっていくと言われています。そのような時代だからこそ、自らのキャリアを自らで創っていくための基礎・教養を身につけてほしい。産・官・学・民、文系・理系、グローバル・ローカルといった既存の枠にとらわれずに、より豊かなキャリア観をもって多様な体験や学びに積極的に取り組んでいってほしい。そのために国内外で活躍する各界の方をゲストスピーカーに迎え、キャリアについて、これからの時代のプロフェッショナルについて、自分について語っていただくオムニバス形式の講義授業を開講します。

 企業(外資系金融・コンサル、ベンチャー、メーカー、商社等)、大学・研究機関、国際機関、官公庁、法曹界などでご活躍されている、多様な経験をもった幅広い年代の方による講演を予定しています。またワークショップを通じて主体的にキャリアについて考えるセッションも設けています。各界に関心のある学生はもちろんのこと、将来のキャリアがまだ漠然としている方も是非受講ください。

2016年度Aセメスター

企業(外資系金融・コンサル、ベンチャー、メーカー、商社等)、大学・研究機関、国際機関、官公庁、法曹界などでご活躍されている、多様な経験をもった幅広い年代の方による講演を予定しています。

スケジュール

2016年 9月30日(金)5限 ガイダンス: なぜキャリア教室なのか・キャリアワークショップ1
2016年 10月07日(金)5限 米倉 章夫(株式会社 Campus for H 共同創業者/ 代表取締役社長/ CEO)
2016年 10月14日(金)5限 北川 拓也(楽天株式会社 執行役員/データインテリジェンス統括部ディレクター)
2016年10月21日(金)5限 佐々木 智之(双日株式会社 林産資源部木材素材課 課長)
2016年10月28日(金)5限 提坂 裕子(株式会社伊藤園 中央研究所 所長)
2016年11月4日(金)5限 岩間 浩(内閣府地方分権改革推進室 参事官)
2016年11月11日(金)5限 キャリアワークショップ2
2016年12月 2日(金)5限 合田 章子(東京地方裁判所 判事補)
2016年12月9日(金)5限 村上 由美子(経済協力開発機構(OECD)東京センター 所長)
2016年12月16日(金)5限 中村 勇吾(多摩美術大学教授 デザインスタジオ「tha ltd.」 代表 ウェブデザイナー/インターフェースデザイナー/映像ディレクター)
2016年12月23日(金)5限 友枝 健太郎(シドニー工科大学経営大学院経済学科 講師)
2017年01月06日(金)5限 八木田 寛之(三菱重工グループ(三菱日立パワーシステムズ株式会社)グループ長代理) 
2017年01月12日(木)5限 全体総括: ワークショップ・自分のキャリアは、自分で創る。

ワークショップ1

未来に活躍できる「ジョブ」を考える

変化の激しい社会の中で、皆さんは将来どんな仕事をしているでしょうか?
未来の職業を考える「ジョブスタ」ゲームでは、自分では気づいていない「なりたい職業」や未来に活躍できそうな仕事について考えます。

ゲスト略歴・講演概要

米倉 章夫

株式会社 Campus for H 共同創業者/ 代表取締役社長/ CEO

東京大学経済学部(BA)卒業後、P&G Japan株式会社にて菓子、食器洗い用洗剤ブランドのマーケティングを担当。その後、株式会社 キャンサースキャンの設立に参画。国立研究機関、厚生労働省、研究者等に対して、がん検診受診率向上事業等、主に公衆衛生分野のソーシャルマーケティング戦略の策定と実施を行う。2014年9月に株式会社Campus for H設立。Harvard Business School卒業(MBA, Class of 2013)。2013年6月にHarvard Business School Healthcare Initiative Japan Regional Directorに就任。World Non-Profit & Social Marketing Conference in Dublin(2011年4月) にて基調講演。

2016年10月7日

   初回のゲスト講師は、「会社や組織」の健康づくりを徹底的に科学し、最先端の知見をだれもが利用できる新しいサービスとして革新的な視点から発信している株式会社 Campus for Hを立ち上げられた米倉章夫さんです。米倉さんにはご自身のキャリアを振り返りつつ、公衆衛生分野におけるビジネスのお話をいただきました。東京大学経済学部を卒業後に就職したP&Gでのご自身の失敗談や留学先のハーバードビジネススクールでのお話など、もっと詳しく聞きたいと思うようなエピソードを数多く話してくださいました。

  米倉さんは、マーケターとしての大企業での経験を生かしつつも、マーケターとしての枠を超えた挑戦をしたいと、新しい環境を求めてベンチャー企業であるキャンサーアンドスキャンの設立に参画されました。その中で “習慣”へのアプローチが特に難しい公衆衛生の分野でのビジネスに惹かれたといいます。予防(公衆衛生)でビジネスモデルが構築できるかという問いへの答えを求め、難しい課題だからこそ結果が出た時に達成感が味わえるとおっしゃっていました。米倉さんの活躍の場は日本にとどまらず、ケニアでのコミュニティヘルス活動のサポートやアメリカにおけるハーバード大学と提携した最先端の栄養学の知識を織り交ぜた料理教室などグローバルに事業を展開されています。それぞれの事例で、現状や着眼点を細かく説明して頂き、ビジネスを起こす人の視点に触れられました。公衆衛生という一見ビジネスとは結びつきにくいような分野でいかにビジネスモデルを構築するかという米倉さんのお話に受講生も多くの関心を寄せていました。

  また米倉さんは、ご自身も東大出身であることから、OBとして後輩学生への応援メッセージをたくさんくださいました。本質を見抜く力や社会構造の仕組みを理解する力など、学生自身が普段なかなか意識することの強みを意識するきっかけとなったように思います。ご講演の最後には「キャリアをかけて解決したい課題を見つけ、やりたいことをやることが大事だ」というお言葉をいただきました。実際にそのように行動されている方から直接お話を聞けたことは、受講生にとって大いに刺激になったと思います。ご講演ありがとうございました。
(ティーチングアシスタント 理学系研究科 修士課程2年)

北川 拓也

楽天株式会社 執行役員
データインテリジェンス統括部 ディレクター
ECカンパニー CDO(チーフデータストラテジーオフィサー)

ハーバード大学で数学と物理学を専攻した後、ハーバード大学院物理学科で博士課程を修了。理論物理学者として『Science』などに15本以上の論文を発表している。現在、楽天でビッグデータ、データサイエンス担当としてグループ全体のデータ活用を推進する組織や仕組み作りを統括。科学的な顧客理解から最高の顧客体験につなげるべく、店舗と共にサービスの向上に日々取り組んでいる。

2016年10月14日

本日は楽天の北川拓也様にお越しいただき、ご自身の中高時代から現在までを振り返りながら、折々の経験を通して得られた教訓についてお話ししてくださいました。

  お話の冒頭で学びとは自分の行動が変容することであり、人の経験から学ぶには創造力を働かせながら話を聞くことが大事だということを言われました。北川さんは学生時代から楽しむことを大切にし、趣味はもちろん授業でも周りの人々から物事を楽しむ術を学んでいたといいます。私たちは普通, 興味がないものやつまらないと思ってしまったものを, わざわざ自ら知ろうとすることはあまりないかもしれません。しかし北川さんは、高校時代には授業がつまらないと感じていた時期もあったそうですが、その道のプロである先生が楽しさを感じて教えている教科を楽しめない自分は損をしているのではないかという思いから、何が面白いのかを知ろうと積極的に行動してきたことを話してくださいました。北川さんのそうした姿勢をお聞きして、置かれた状況のなかでなんでも楽しもうとするからこそ, 多くのことを学べるのだということに気づかされました。大学進学先として選んだハーバード大学では全く知り合いのいない環境で、言語の面でも苦労したと言われていましたが、そんなことを感じさせないほど充実した経験をされたことが伝わってきました。さらに、この体験によってまったく新しい環境に飛び込むことを楽しめるようになったそうです。物性物理やビックデータなど専門のお話もわかりやすく、私たちの生活にも身近でまだまだいろいろな発見の可能性があるように感じました。そしてなによりご本人が楽しんで取り組まれていることが伝わってきました。

 最後に東大生へのメッセージとして、科学的に理解されているより良い生き方のGrowth mindset + self efficacy、Grit、Vulnerabilityというキーワードを挙げていただきました。北川さんからお話いただく中で、これらのキーワードを大切にし、常に前向きで立ち止まらない姿勢の根底には、何度も繰り返されていた”人生を楽しもう”というお気持ちがあるのだと思いました。北川さんの常に前向きで進み続ける姿勢を目の当たりにし、わくわくすることができました。質問にもざっくばらんにお答え頂き、受講学生にとってもとても刺激的な時間となっていました。お話を聞く中でそれぞれが得た気づきや感情を忘れずに、今後の自身の行動に反映させていければと思います。ご講演ありがとうございました。
(ティーチングアシスタント 理学系研究科 修士課程2年)

佐々木 智之

双日株式会社 林産資源部木材素材課 課長

1998年 東京大学文学部歴史文化学科卒業。 同年日商岩井株式会社(現:双日株式会社)に入社。国内外のグループ会社の経営管理などに携わった後、2004年にニュージーランドの事業会社に出向。2007年に帰国後、林産資源の事業会社管理や、新規事業開発業務、製紙原料の取引業務などを担当した。2015年から現在の業務を担当。

2016年10月21日

本日は、東京大学文学部ご出身の佐々木智之さんにご講演頂きました。佐々木さんは、海外、特に発展途上国に関わりたいとの思いから、商社や船会社、石油会社等を中心に就職活動を進められ、現在の双日株式会社の前身である日商岩井に入社を決められたそうです。その後会社の合併などを乗り越え、海外の会社への出向を含め林産資源に関わる仕事を中心にキャリアを積まれ、現在は山林資源部木材素材課長をされています。  

  講義では、まず前半に商社全般や双日株式会社について紹介をしてくださいました。総合商社で扱う商品の多様さを知り、商社が私たちの生活と密接に結びついていることが分かりました。また、商社というと華やかで体育会系の方が多いというイメージを持つかもしれませんが、様々な種類の仕事があるため、異なるバックグラウンドを持つ多様なメンバーがチームとなって仕事をされていることを教えて頂きました。その後の講義後半では、佐々木さんの学生時代から今までを振り返りながら、どのようなキャリアパスを歩まれてこられたのかを紹介してくださいました。「熱く・明るく・あきらめず」をモットーに今後は自分で新規事業を立ち上げることを目標としていることなど、林産資源への熱い思いが伝わってきました。 

  講義後の質疑応答セッションも非常に盛り上がり、学生から多くの質問が寄せられました。ここではそのうちいくつかを紹介したいと思います。まずは語学について、商社では海外駐在の機会もあるということで英語に不安を持つ学生もいたようですが、入社時点での英語の成績はあまり重要視されず、入社後の努力次第だとのことでした。その上で、言語以前にまずは自分の中で話の引き出しを持っていることが大切であり、学生の内に知識・教養を増やして話の引き出しを持っておくことが重要だと言われたのが印象的でした。これから専攻を選択する中で大学での学びが就職活動やその後社会に出て役に立つのか悩むことも少なからずあるかと思いますが、大学での学びは授業や研究だけにとどまらず、大学生活全般を通して物事への取り組み方やそこで得られた人脈などもその全てが将来の財産となるのだと感じました。  

  また、これからの時代に大企業で働くことに関する質問も多く見られました。一般に大企業はベンチャー企業とは異なり、トップダウン型の意思決定や年功序列が残るといったイメージが持たれがちかもしれません。しかし、業界で名前が知られているからこそのネットワークや様々な分野に精通した人が社内にいることで複合的な事業にも取り組みやすいなどといった利点も挙げていただきました。最近では、大企業でも意思決定が迅速になるように制度改変が行われることや、成果を重視した人事が行われることもあることなども教えてくださいました。どのような学生からの質問にも丁寧にお答え頂き, 本当にありがとうございました。   
(ティーチングアシスタント 理学系研究科 修士課程2年)

提坂 裕子

株式会社伊藤園  中央研究所 所長

1978年東京大学薬学部薬学科卒業、1980年東京大学大学院薬学系研究科製薬化学専攻修士課程終了。同年環境庁国立公害研究所(現在、環境省国立環境研究所)入所。環境保健部に配属され、カドミウム等重金属の健康影響に関する研究に従事。1987年㈱伊藤園に入社、中央研究所に配属され、緑茶をはじめとする食品成分の機能性に関する研究に従事。2009年より中央研究所所長就任、現在に至る。薬学博士(東京大学)

2016年10月28日

本日はゲスト講師として、株式会社伊藤園中央研究所所長の提坂裕子さんにお越しいただきました。提坂さんの幼少期からの現在に至るまでの経歴を、当時の社会情勢などを交えてお話ししてくださいました。  

  提坂さんはご両親の勧めや高校時代に物理学や化学に興味を持っていたことから薬剤師を志し、東京大学理科二類に入学、後に薬学部に進学され物理化学の研究室に配属されました。しかし、学部を卒業するタイミングで第二次オイルショックが起こり、見学に行った製薬メーカーからは来春の採用がないと言われてしまいます。そこで、就職後も研究をしたいと考えていた提坂さんは修士課程に進学されました。進学後も研究への情熱は冷めず、さらに当時は男女雇用機会均等法制定前で民間で研究開発に携わる女性はほとんどいなかったという背景もあり、研究公務員の道に進まれました。当時の環境庁国立公害研究所(現・国立環境研究所)就職後の最初の仕事は、カドミウム汚染地のフィールド調査だったそうで、研究がしたいとの思いで就職したのにという思いが大きかったと当時を振り返りました。しかし、最初の仕事が与えられた時、つまらないと決めつけ真剣に向き合わなかったことを今でも後悔しているそうで、その経験を踏まえて、与えられた仕事を面白く感じて取り組むことが大事だとのメッセージを頂きました。  

  その後、公害研究所での研究業績で東京大学より薬学博士(論文)を取得、結婚を機に、静岡に工場のあった株式会社伊藤園の中央研究所に転職されました。ちょうど同じ年に当時の厚生省が機能性食品の市場導入構想を発表し、伊藤園の扱うお茶に含まれるカテキンやサボニンに着目して様々な研究をされたそうです。また、アメリカのMDアンダーソンがんセンターと茶葉のがん予防効果に関して共同研究をしたり、米国食品医薬品庁(FDA)に緑茶とがんのリスクに関するヘルスクレームを申請したり、研究以外でもその手腕を発揮されました。これまでの経験を活かし、現在は美味しさと健康の科学を探求することを目標として、中央研究所所長をされています。

  私生活では、男女不平等が当たり前だった中で2人のお子さんを育てた経験から、家庭と仕事の両立は男女関係なく取り組むべき問題だということを強調されました。仕事をする上で女性だからと意識したことはあったかという質問にも、女性だから不利益を被ったことはないときっぱりとおっしゃる姿からは、何事も状況のせいにせず仕事と向き合ってきたことが伝わってきました。最後には研究一筋な提坂さんらしく、学生のうちは自分の専門を極めて欲しいというアドバイスを頂きました。ご講演ありがとうございました。    
(ティーチングアシスタント 理学系研究科 修士課程2年)

岩間 浩

内閣府地方分権改革推進室 参事官

1991年 岩手大学農学部卒業。同年 農林水産省に入省。経済企画庁(現内閣府)、在シカゴ日本国総領事館への出向などを経て、大臣官房政策課で食料問題、食料・農業・農村基本計画を、大臣官房秘書課で総合職の採用・人事を担当後、大臣官房総務課報道室長兼広報室長として農林水産省の報道・広報対応を担当。2015年から内閣府地方分権改革推進室参事官として、地方分権改革による成果の発信、各自治体の取組事例の普及に取り組んでいる。

2016年11月4日

  本日の講師は、内閣府地方分権改革推進室参事官の岩間浩さんです。岩間さんは大学では農業経済学を専攻し、農業の活性化や食に関することへの興味から、学部卒業後は農林水産省に入省されました。その後、経済企画庁や在シカゴ日本国総領事館への出向などを経て、現在は内閣府地方分権改革推進室参事官として地方分権改革による成果の発信、各自治体の取組事例の普及に取り組んでおられます。

  講演では、国家公務員の仕事の特徴や岩間さんの経歴、岩間さん自身が心がけていること、実際の仕事内容などを紹介してくださいました。不確かなことが多い時代を生き抜く上で自分自身の強みや弱み、特徴を把握し適切な判断ができる指針を自分の中にもつことが大切だとのメッセージをいただきました。そのために、目に見えない問題や悩みを可視化し解決可能な目標を具体的に設定する「見える化思考」と目の前のことに懸命に取り組みつつも冷静に状況を見渡す「複眼的思考」という2つの思考を磨くことを強調されました。こういった思考は常にいろいろなことにアンテナを張り知識を増やし、様々な意見を聞くことで養われていくと思います。独りよがりにならないように知識を深め、周りの人の意見を取り入れ課題について深く考え続けることで問題解決の糸口が見つかるのかもしれません。

  現在関わっておられる地方分権改革の概要についても紹介していただきました。少子高齢化や国民の価値観の多様化など、これまで前提とされてきた社会構造が大きく変化する中で、地域ごとに異なる様々な課題に対応するため、例えば、従来の国の法令による全国一律の基準・手続だけでなく、地方自治体が自らの裁量・判断の下で、それぞれの地域の実情を反映した基準・手続を条例で決められるようにして、個性ある地域づくりを後押しする取組がどう行われているのか、また、改革を通じて、実際に住民の生活がどう改善され、地域に役立っているのかがよくわかりました。

  国家公務員を志望する学生も多いためか、質疑応答では国家公務員の働き方ややりがいについて多くの質問が出ました。昨今、省庁でも民間企業と同様にワークライフバランスや女性の働きやすさの改善に積極的に取り組まれてきており、個人の事情に合わせて配慮が見られるようになってきたとのことです。仕事のやりがいという点では、現在は地方分権改革に関わっておられることから、地方自治体の方から、「改革の意義が理解できた、自分達も前向きに取り組みたい」と感謝されることが一番の励みになるとおっしゃっていました。霞が関にいると、現場の方との接点がどうしても少なくなるため、多様な業種の方や地域の方々と積極的につながりを持つよう心がけていらっしゃるそうです。また、学生時代の経験で役立ったことは何かという質問には、農業サークルに所属し農家の方を含めた様々な方々と関わる機会を持ったことというお答えを頂きました。学生のうちから、座学で知識を得るだけでなく人との関わりを大切にしていくことが仕事をする上でも活きてくるのだと思いました。ご講演ありがとうございました。  
(ティーチングアシスタント 理学系研究科 修士課程2年)

合田 章子

東京地方裁判所 判事補

平成18年9月司法試験合格。同年11月司法修習生(新60期)。平成20年1月津地裁判事補、平成22年4月津地家裁判事補、平成23年4月千葉地家裁木更津支部判事補、平成25年4月東京地検検事(法務省民事局付)。平成28年4月東京地裁判事補に着任、現在に至る。

2016年12月2日

 本日は東京地方裁判所判事補の合田章子さんにお越しいただきました。合田さんのお話から、今まであまり身近ではなかった裁判所や裁判官について知ることが出来ました。  

 合田さんが司法試験の受験を考え始めたのは高校生の頃で、当初は弁護士や検察官への憧れが強かったそうです。当時の司法試験は合格率3%の日本で一番難しいとされる試験でした。大学在学中から予備校に通い、司法試験を4回受験しますが、残念ながらすぐに合格することは出来ませんでした。悩んだ末5回目の受験はせずに公務員試験を受け、裁判所事務官として働き始めます。しかし翌年に法科大学院に合格し、再び法曹界を目指す道を選びました。

  一方で、司法試験合格後の司法修習開始時まで裁判官という職業を意識したことはなかったそうです。法科大学院時代の恩師からの勧めや司法修習での進路希望調査面談、さらに模擬裁判の経験を通して裁判官の重要性を感じ、裁判官になる決意をしたとのことでした。任官後は津地方裁判所、千葉地家裁木更津支部、法務省民事局出向、さらにイギリス留学を経て、現在は東京地方裁判所で民事事件の特例判事補として数多くの事件を担当されています。

  職場では転勤が多く、またストレスを受けやすいので、自分に合ったストレス発散方法を見つけて実践しているそうです。また、激務でもどんな環境でもやっていけるように心身を鍛えることが何よりも大事とおっしゃっていました。裁判官として働かれるなかで、判断に迷うこともあるとのことでしたが、判例を調べたり、先輩の判事に相談したり、自分が納得できるまで考え抜くことを大切にしているとのことでした。

  学生に向けては、授業にしっかり出て、時間のあるうちに様々な経験をした方がいいというアドバイスをいただきました。さらに異なる職種の先輩方の話を聞くことも、多様な職業に興味を持ち視野を広げる上で大事だと強調されました。

  最後に、合田さんはこれまでを振り返って、司法試験合格に時間がかかって良かったとおっしゃっていました。卒業してすぐに自分の望む仕事に就くのも良いが、その時々でできることを頑張っていれば道は開けるというお話には重みがあり、どんな時でも夢をあきらめずに追いかけた合田さんだからこそ言える言葉だと思いました。ありがとうございました。
(ティーチングアシスタント 理学系研究科 修士課程2年)

村上 由美子

経済協力開発機構(OECD)東京センター 所長

1987年、上智大学外国語学部卒業。1989年、スタンフォード大学大学院で国際関係学修士課程修了後、国連に就職。国連開発援助プログラム(1989-91 バルバドス)、リモート・センシングの平和的利用推進(1991, ニューヨーク国連事務局)、人権擁護オフィサー(1991-92, 国連カンボジア暫定統治機構)などに携わる。その後ハーバード大学大学院に留学し、94年、同大学院経営学修士課程(MBA)を修了。同年、ゴールドマン・サックス証券に入社。ロンドンでバイスプレジデント、ニューヨークと東京でマネージングディレクターを務める。2009年、クレディ スイス証券に転じマネージングディレクターに。2013年9月から現職。OECDの日本およびアジア地域における活動の管理、責任者として政府、民間企業、研究機関及びメディアなどに対し、OECDの調査や研究、及び経済政策提言を行う。

2016年12月9日

 本日は村上由美子さんにご講演頂きました。村上さんは、日本の大学を卒業後、スタンフォード大学で修士号を取られると、まず国連に勤務されました。その後、ハーバード・ビジネス・スクールでMBAを取得され、ゴールドマン・サックス証券等で働かれた後、現在は経済協力開発機構(OECD)東京センター所長をされています。村上さん自身もおっしゃっていましたが、国際機関と民間企業を行き来するという日本ではまだまだ珍しいキャリアパスを歩まれています。    

 今回のご講演では、OECDが収集している統計資料を基に、様々な角度から人口減社会としての日本やその強みを考えることが出来ました。昨今、日本の人口減少問題を否定的なものとする議論が目立ちますが、村上さんは日本にはこの状況を活かして相対的な競争力を付けることができる潜在力があると言われました。そもそも統計資料によれば人口減少は世界中で見られる現象で、それをターゲットにしたビジネスチャンスは大きいと捉えることができます。同時に技術革新が進み、仕事の機械化に代表されるようなIT革命が進んでいますが、日本の失業率は低いためそれを受け入れる素地があり、日本人全体のリテラシーの高さからIT化によって仕事内容が大きく変わることを受け入れるのも比較的容易であると言うことができるそうです。他にも、日本は他国に比べて特許取得数が多いため、技術の種が多いことも強みです。  

 しかし一方で、日本の学生は自分の能力に自信がない、社会人では高い能力を持っていてもそれを活かした仕事が出来ていない現状があることも統計から読み取れました。また、転職や起業に対する悪いイメージがあるなど、リスクを恐れずに自らチャレンジすることに否定的な意識もまだまだ残っています。村上さんはこうした現状の中で、人口減社会で日本が成長していくために、私たち自身の意識の変革と労働市場の改革や規制緩和などの社会の仕組みの変化の必要性を強調されました。  

 質疑応答では国際機関で働くことに関する質問が多く出ました。国際機関というと、まず言葉の壁が大きいイメージがあります。確かに言語の壁もありますが、それ以上に反論も受け入れて建設的な議論を行うコミュニケーション能力が大事とのことでした。また大学時代はいろいろな勉強をして興味のある分野を探し、修士課程で専門性を高めや職務経験を積むことが国際機関で働くための第一歩とのことです。  

 今回の講演では統計を通して、様々な角度から見た日本社会や世界について考える機会が得られました。今まで統計資料をじっくり見る機会はあまりありませんでしたが、様々な情報を得ることで現状の捉え方が変わり、発想の転換につながるのだと実感できました。貴重なお話をありがとうございました。
 (ティーチングアシスタント 理学系研究科 修士課程2年) 

中村 勇吾

多摩美術大学教授 デザインスタジオ「tha ltd.」 代表 ウェブデザイナー/インターフェースデザイナー/映像ディレクター

1970年奈良県生まれ。  東京大学大学院工学部卒業。1998年よりウェブデザイン、イ ンターフェースデザインの分野に携わる。2004年にデザインスタジオ「tha ltd.」を設立。 以後、数多くのウェブサイトや映像のアートディレクション/デザイン/プログラミング の分野で横断/縦断的に活動を続けている。主な仕事に、ユニクロの一連のウェブディレ クション、KDDIスマートフォン端末「INFOBAR」のUIデザイン、NHK教育番組「デザインあ」のディレクションなど。主な受賞に、カンヌ国際広告賞グランプリ、東京インタラクティブ・アド・アワードグランプリ、TDC賞グランプリ、毎日デザイン賞、芸術選奨文部科学大臣新人賞など。

2016年12月16日

本日は、東京大学大学院工学部をご卒業された中村勇吾さんにご講演いただきました。現在は多摩美術大学で教鞭をとり、デザインスタジオ「tha ltd.」代表としてデザイナーとして活動され、数々の賞を受賞されています。  
 
   授業の冒頭でご紹介いただいた中村さんがこれまでに携わった作品にはウェブサイトをはじめとしてアプリケーションや動画などがあり、多分野で幅広くご活躍されていることがよく分かりました。中村さんはデザインの醍醐味は何かを具体化することで従来と異なる世界観を提示し、既存の価値観を更新することができることだと言われました。その言葉通り、中村さんの作品には、マウスの動きとともにページのレイアウトが変化する動的なHPやスマホを振ることで誰でも簡単にTシャツをデザインできるアプリなど、私たちの生活に新しい風を吹き込むようなものが多いのが印象的でした。中村さんは、そんなデザインの仕事が東大生に向いていると感じているそうです。そう言われると、大半の人はセンスがないからと否定してしまうと思いますが、センスはこれまでの経験や知識から成るもので、まずは観察力を磨くことが大切だとのことでした。  

   さらに、これからの時代をどう生きるか、というこの授業のメインテーマについて、「選択と集中」というキーワードを挙げてくださいました。まず、「選択」ついては、これから社会に出るとますます先の読めない状況で決断を迫られることが増えるけれども、今の選択に向き合って納得し続けることが大切という思いが込められています。中村さん自身、これまでに設計事務所やフリーランス、web作成ベンチャー企業などを経て、2004年に現在のデザインスタジオ「tha ltd.」を設立されました。いつも決断をする時は、5年先からタイムマシンで今に戻ってきたとしても、もう一度その選択をするのだろうか、と考えて決断をされているとのことでした。  

   「集中」という言葉は、一度選択したら、とことんやってみるということを意味しています。自分の選択に集中して努力すれば、短期間でその選択が成功か失敗かを知ることが出来、もし失敗だったとしても次にいくチャンスを増やすことができます。そのためにも、とにかく選んだ以上頑張るという姿勢が大事とのことでした。また、ご自身の経験から、その決断が失敗だったとしても、その過程で必ず今後役に立つものも得られているとのことでした。そして、結局のところ、これからの時代をどう生きるかという問いは今をどう生きるかに還元できると強調されました。とりあえずひとつのことをやってみて、失敗したらやり直せば良いという言葉に励まされた学生も多かったように思います。ご講演ありがとうございました。
(ティーチングアシスタント 理学系研究科 修士課程2年)

友枝 健太郎

シドニー工科大学経営大学院経済学科 講師

2008年東京大学経済学部卒業。東京大学経済学研究科修士課程を経て、2016年ハーバード大学より経済学PhDを取得。同年7月より、シドニー工科大学経営大学院経済学科講師。専門はミクロ経済理論、メカニズムデザイン。主にオークション、労働市場、学校選択問題、教育市場などの資源配分問題に対して、ゲーム理論を用いて分析しより望ましい制度設計を提案する理論研究を行っている。

八木田 寛之(Hiroyuki YAGITA)

三菱重工グループ(三菱日立パワーシステムズ株式会社)グループ長代理

旧東京都立航空工業高等専門学校機械工学科卒業後、三菱重工業に入社。都市ごみ焼却プラントの設計や火力発電プラントのサービスエンジニアに従事するとともに事業戦略立案を行う。世界中にある発電所が安定して、またエコに稼働出来るよう毎年約100日間は海外(中近東、東欧、中南米等)を巡っている(この8年間で約100万km、地球25周分を移動)。OAPEC(アラブ石油輸出国機構)向け政府ミッションにて日本代表技師団に2度選出(2014年,2015年)。また2013年には次世代新ビジネス創出K3プロジェクトを自ら旗揚げ、PJを牽引。2014年から現所属。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科修士課程修了(システムエンジニアリング学)。同大学院非常勤講師(2012年4月~2015年3月)。東京大学大学院工学系研究科技術経営戦略学専攻後期博士課程中途退学。米PMI協会認定Project Management Professional。NPO国境なき技師団正会員。

2017年1月6日

本日は、三菱重工グループ(三菱日立パワーシステムズ株式会社)グループ長代理の八木田寛之さんにご講演頂きました。

  八木田さんは東京都立航空高専をご卒業後、歴史に残るような社会の役に立つ仕事をしたいとの思いから、20歳で三菱重工業に就職されました。安定した会社であったことに加えて、なにより信頼できる先輩が良い会社だからと勧めてくれたことが大きかったそうです。

  入社9年目には、企画業務に異動となり、新しいものを生み出すことについて学びたいとの思いから大学院へ通うことを決断され、社会人として働くかたわら慶応義塾大学大学院SDM研究科修士課程を修められました。プライベートの時間である夜と土日に大学院へ通う生活はハードなものでしたが、力がついたとおっしゃっていました。社会人になっても学び続けることの重要性や、一度社会人になっても大学に戻ることがひとつの選択肢であることが伝わりました。

  ご自身のお仕事を国境なきエンジニアと称されるように、これまでに仕事で34か国を訪れ、その移動距離は地球31周分にもなるそうです。世界中に建てられた三菱重工グループ製の火力発電所をメンテナンスするため15か国を1か月で周るということもあるそうですが、電力という生活に欠かせないインフラの整備を通じて命や暮らしを支えている実感があるといいます。また、海外を回って感じたこととして、働くことだけでなく自分の人生を楽しむことの大切さを挙げられていたのが印象的でした。仕事だけではなく様々な経験を通して人としての魅力が増し、さらにそれが仕事において相手に一緒に働きたいと思わせることにもつながるのかもしれません。

  大企業で働くことについても、その環境や雰囲気などについてざっくばらんに教えていただきました。入社後に理想と現実とのギャップに苦しまないためにも、会社選びでは与えられた情報を鵜呑みにせず、その会社に働く中の人の声を聞くことを大切にして欲しいとのことでした。

  最後に、これから社会に出て様々な決断をすることになる学生たちへアドバイスを頂きました。それは、まず情熱を傾けられる自分が本当にやりたいことを探すこと。そしてとにかくまず、やってみることです。これから社会に出て様々な決断を迫られることがあると思いますが、こういった姿勢は常に必要になるでしょう。ご講演ありがとうございました。
(ティーチングアシスタント 理学系研究科 修士課程2年)

アーカイブス