キャリア教室2・A集中
Report 02
授業レポート第2弾は、第5期NECプロジェクトについてです。「参加企業/官公庁さまから見た本授業とは?」ということで、NEC様に以下授業レポートを執筆いただきました。
プロジェクト実施: 2018年2月13日・16日
レポート公開: 2018年4月27日
Text by NEC
東京大学の前期課程1・2年生を対象とした「教養学部生のためのキャリア教室2」社会連携プロジェクトは、大学生が企業や官公庁に勤務する社会人と2日間かけてミッションに取り組む、産学連携の短期集中型プロジェクト授業です。
NECは一昨年度、昨年度の続き、真の共生社会に向けた大学との取り組みとして、ワークショップを行いました。昨年度は「ICTを活用したユニバーサルデザインの街づくり」をテーマとしたフィールドワークやディスカッションを行いました。今年度は「パラスポーツを盛り上げよう!」をテーマに、学生の皆さんにパラスポーツ体験、グループワークをしていただきました。
東京大学社会連携プロジェクト「パラスポーツを盛り上げよう!」
Day1 2018年2月13日(火) 9:00-11:00、14:00-18:00
Day2 2018年2月16日(金) 14:00-18:00
●品川イノベーションワールドの見学
希望した学生たちに品川イノベーションワールドを見学してもらいました。画像解析やAIなどNECの最先端の技術を活用した安全で効率的な未来を、学生の皆さんも興味深く体験してくれました。
●社会連携プロジェクト、スタート!
東京大学駒場キャンパスに集まった大学1年生・2年生、15名。
標葉(しねは)先生から概要紹介していただき、NECとの社会連携プロジェクトがスタートしました。
●NECってどんな会社?
まずは私たちのことを知ってもらうため、コーポレートマーケティング本部 藤田より会社の紹介を行いました。
学生たちに質問。「NECをご存知ですか?」バザールでござーるを知っていますか?、知っている学生は0人。たしかに参加している大学生たちより年上のバザールでござーる。
NECは社会価値創造型企業。従来、NECはお客さまの課題からソリューションを提案していました。そして今は、お客さまの課題に加えて社会の課題も踏まえながらソリューションを提案しています。
NECは「気づき→仲間づくり→価値づくり」で社会課題を解決しています。
そして、今回のワークショップを担当する東京オリンピック・パラリンピック推進本部の大庭、佐藤からも仕事の紹介をしました。
●テーマを紹介「パラスポーツを盛り上げよう!」
今回のテーマは「パラスポーツを盛り上げよう!」
パラスポーツは色々な定義がありますが、今回は障がい者スポーツ全般という枠組みで考えてもらいました。学生たちに質問「パラスポーツにはどんなイメージがありますか?」
学生からは「ルールが違うので取っ付きににくい」「オリンピックの人気にあやかっている気がする」などの意見がありました。
学生の皆さんにパラスポーツの魅力を知っていただくためにリオパラリンピックのムービーを視聴してもらいました。パラスポーツ選手が活躍する姿に引き込まれる学生たち。「健常者のオリンピックと変わらない熱気。激しさが伝わってきた」「レクリエーションのイメージがあったが真剣さが伝わってきた」「これが本当に障がい者スポーツなの?という驚き」
そして、ギネスビールのプロモーションムービーも視聴してもらいました。車椅子バスケットを楽しむ大人たち。でも、実は障がい者は一人だけ。パラスポーツは健常者も楽しめるスポーツであることを知ってもらいました。
●ボッチャ体験会
場所を体育館に移して、学生たち3チーム、NECチームの合計4チームでボッチャを体験。
東京オリンピック・パラリンピック推進本部 佐藤からのボッチャの説明の後、早速、ボールを投げてもらいました。柔らかいのに適度な重みがある、意外に転がるなど、実際にボッチャを体験したからこその気づきの声が体育館に響きます。
最初は静かに始まったボッチャの対抗戦も次第に熱が入って作戦会議や応援合戦が始まりました。トーナメント戦の結果は大人気ないNECチームが優勝。
ボッチャはパラスポーツですが、障がい者や健常者を問わず楽しめることを実感した体験会でした。
●ワークショップを開始!「パラスポーツを盛り上げよう!」
教室に戻った学生たち、これからグループワークのスタートです。
改めて「パラスポーツを盛り上げよう!」のテーマを紹介。実際にパラスポーツの日本大会決勝戦の会場の写真を紹介。観客席はガラガラ。観客が少ない中、パラスポーツ選手は一生懸命競技に向き合っています。
また、会場の写真に加えて、年代別のパラスポーツへの興味関心の調査結果も紹介。若年層ほどに関心が低いという結果。
このような状況を打破すべく、みんなでパラスポーツを盛り上げる施策を考えましょう。
初日のゴールは、パラスポーツを盛り上げるために、どんな課題に取り組むか?その課題を選んだ理由、ダイアログを通じての気づきを紹介すること。1時間のグループワークの後、グループ毎に発表をしてもらいました。
●グループ発表
1時間のグループワーク終了後、各グループより発表してもらいました。
チーム「弱くても勝てます」
パラスポーツの熱さと楽しさを伝えていく。実際にボッチャを体験して楽しいことを知った。車椅子バスケのムービーを見て熱さを感じた。熱さと楽しさを感じられる体験の場が必要。パラリンピックは貴重な体験の場。パラリンピック後も体験できる場をいかに提供していくか?
チーム「りんご」
パラスポーツを盛り上げることを検討するにあたって、そもそも、盛り上がっている状態を考えました。現状、若者のパラスポーツの関心は低い。小中高大の若者たちの意識を高めていく必要がある。若者たちの意識を高めることで持続可能な社会をつくれるはず。
チーム「東京男子大学」
盛り上がるためのアイデア。お祭りやフェスの盛り上がりを導入してみる。音楽、共通のユニフォーム、ファッションなど。プロモーション力が問われる。Tokyo2020の開催地である東京。東京に存在する東京大学だからこそ、できることがある。たとえば、文化祭でパラムーブメントをテーマにしてみる。
他チームからのアドバイス
各チームの発表の後に、他のチームからのアドバイス、お互いのチームへのエールを伝えました。「自分たちのチームに足りなかった視点は時間軸。持続可能性を考えることが大切」という気づきにハッとさせられました。
Day1より3日後、社会連携プロジェクト2日目がスタートしました。
冒頭、東京オリンピック・パラリンピック推進本部集まろうぜ。グループ部長の山本からキャリアの紹介をしました。
●前回の振り返り
東京オリンピック・パラリンピック推進本部 大庭より、2日目の進め方とゴールを説明。
まずは、前回の振り返りから。「皆さん、テーマを忘れていませんよね?」。
今回のテーマは「パラスポーツを盛り上げよう!」です。
Day1で発表した学生たちのアイデア。その内の幾つかは実際に実現しているものがあることを紹介しました。例えば、車椅子バスケを題材にしたマンガ『REAL』、東京都が制作した障害者スポーツ普及啓発映像「BE THE HERO」。5つのパラスポーツ、パラリピアンに着目したカッコイイ映像。NHKで放映されているアニメ「アニ×パラ」。パラアスリートの写真集もあります。また、スポーツと音楽の祭典「ParaFes 2017」も開催されました。東京都はパラリンピックが成功することが本当の意味での東京2020の成功と考え、そのために「BE THE HERO」を制作したことを紹介しました。
実現例の紹介を終えて、学生たちに問いかけました。「皆さんが考えたアイデアが既に実現されている一方、学生の皆さんに認知されていないのは何故でしょうか?」。この問いかけの答えを見つけるのがDay2のゴールになります。
●グループワーク
テーマである「パラスポーツを盛り上げよう!」に関して、Day1にグループで話し合った課題を深掘りしていきます。
ターゲット、パートナー、解決できる課題、必要なモノ・コト、手段、方法、スケジュール、目指す姿・実現したい未来像を考える学生たち。
学生たちの対話を見守るNECのアドバイザー。時折、学生たちに問いかけ。「それって自分ゴトになっている?」「それは何故なんだろう?」。本質に迫ることの大切さを伝えました。
●「パラスポーツを盛り上げよう!」のグループ発表
約2時間半のグループワークも、みんなで真剣に話し合うとあっという間。
グループワークの成果として、各グループより、パラスポーツを盛り上げる施策を発表してもらいました。
チーム「弱くても勝てます」
テーマ「健常者と障がい者の共生社会を実現する」
スポーツを接点にして障がい者と健常者の共生社会を実現する。
健常者が普段接することのないパラスポーツの体験機会、具体的にはフットサルコートでブラインドサッカーを体験できる機会を提供する。フットサルコートでアイマスクやボールを貸し出す。体験して面白さを感じた方にパラスポーツの体験チケットを渡す。体験会ではパラスポーツのアスリートと一緒に対戦したり、混合チームで楽しむ。体験後は、健常者も障害者も一緒になって打ち上げをしてコミュニケーションを深める。そして、この接点を通じて継続的な関係性を構築する。
チーム「東京男子大学」
テーマ「ボッチャBAR」
パラスポーツが障害者スポーツとして認識されるのでなく、誰もが趣味として慣れ親しめるような位置付けにしたい。そのための「ボッチャBAR」。誰もが楽しめるようにするための最初のターゲットは東京大学の学生。ボッチャは障害者スポーツでなく、知的スポーツとしてイメージ戦略を図る。知的さを演出するための空間プロデュースにも注力する。
チーム「りんご」
テーマは「次世代につなぐ」
ダイバシティとインクルージョンを当たり前に感じられる次世代を育成する。
パラスポーツをエンターテインメントとして表現していく。パラスポーツとクリエイティブな東大生によるコラボレーションによって演出する。例えば、Perfumeが出演するイベントとし、音楽とパラスポーツの融合をはかる。パラスポーツとスポーツの垣根をなくして、パラリンピックの時だけ盛り上がるという一過性にせず、パラスポーツファンの持続的再生産を可能にする。
学生からの発表を終えて、最後にNECメンバーから講評。
「小さくてもいいから実行することが大切。ICTを活用することで効率性を高めたり、価値を最大化できます。ただし、ICTだけで全てを解決はできません。制度など含めて解決すべき事項が多々あります。だからこそ、多くのステークホルダーの方々との共創が大切なんです。パラスポーツを普及させるために、まずは障がい者が集まれる環境をつくります。それが真の共生社会を実現することに繋がると信じて、NECは「集まろうぜ。」を掲げて、これからも活動していきます。皆さんも応援してください!」
学生からは「パラスポーツについて初めて真剣に考えた。」「パラリンピックを観る視点が変わった。」など、パラスポーツに興味を持つきっかけになったと共に、「グループで企画することの楽しさを味わった」「考える力がついた」などの意見もあり、チームで考え、成果を出すことの難しさと楽しさを体験してもらうことができました。
参加してくださった学生の皆さん、標葉先生、2日間ありがとうございました!
NEC東京2020スペシャルサイト https://jpn.nec.com/ad/2020/op/index.html