この講座は、人の気持ちの動かし方を考える研究を行います。
人の気持ちが動くとき、社会は動く。そのスイッチを探していきたい。
こころを動かすコミュニケーションを実践してきた電通のクリエーティブと
東京大学が手を組んで、あたらしい企画の研究所を立ち上げます。
さて。
みなさんが、将来やりたいことは何でしょうか。
社会のためになることをやりたい。 あたらしい体験を生み出したい。
研究で多くの人を救いたい。サービスを立ち上げたい。
人の数だけやりたいことはあるのかもしれません。
これらには共通項があります。
それは、「人のこころを動かす」ということ。
気持ちが動かないと、人は動きません。
サービスを受ける人は何に喜ぶのか。
社会のための行動は、どんな気持ちを動かすべきなのか
(説教くさいと動かなかったりしますよね)。
AIが発達し、人間性への回帰が重視される中、
人の気持ちへの向き合いは、より重要になっていくはず。
私たちは長年にわたって、
人の気持ちをさまざまな表現手法で動かしてきました。
映像、言葉、体験、空間、ビジュアルなどジャンルは多岐にわたります。
その中心にあるのが「企画」です。
人の気持ちを考えて、動かすためのアイデアと手段。
それが、「企画」という技能。
たとえば、ゴミ拾いをしようと言っても動かない人でも
「ルールがあるゴミ拾いの競争という企画」にしたら動くかもしれません。
これからの世界において、「企画」はより重要になっていくと考えています。
それは、ビジネスでも表現でも生活でも活きる力になります。
しかし、人の気持ちを動かす「企画」は属人的であまり体系化されていません。
そこで、このプロジェクトでは「企画」にもう一度向き合います。
人の気持ちとは何なのか。どういう時に動くのか。
動かすための表現にはどんな技術があるのか。
映画、漫画、音楽、ファッション、落語、短歌。
人の気持ちを動かすものは何を内包しているのか。
目指すのは、誰もが「企画」を力にする社会です。
桑田光平
東京大学 大学院総合文化研究科 超域文化科学専攻 教授
本ゼミ担当教員。クリエイティヴな講師陣がすこしでも学生のようにフレッシュになれるよう、そして、学生がすこしでも講師陣のようにクリエイティブになれるよう、両者を全力で繋げることがゼミでの役割。最終的にはどちらがどちらかよく分からなる状態が少しでも現出できればと願っている。繋がられることなど気にせず、ただ繋げることだけを考えています。所属は超域文化科学専攻・表象文化論コース。専門はフランス語圏の文学・思想・芸術だが、いまは大学での研究がどんなふうに社会から離れているのか、そして、どんなふうに(「社会」ではなく)人の心に繋がるのかに関心を持っている。著書『ロラン・バルト』、『東京時影 1964/202X』など、最新の訳書にアラン・マバンク『割れたグラス』
尾上永晃
電通 FC室 プランナー・クリエイティブディレクター
映像、体験、まちづくり、バーチャル空間など、ジャンルを問わず企画をする。
主な仕事:「もしも東京の真ん中に山があったら」「アクマのキムラー」「#駄言辞典」「池上線フリー乗車デー」「TOKYO GAME SHOW VR」日本酒のブランディングなど。
カンヌやTCCやメディア芸術祭など国内外の賞を受賞。各国の広告賞の審査員も務め、講演も行う。
電通インターン座長や、金沢美術工芸大学講師なども歴任。
書籍「クリ活2」「なぜウチより、あの店が知られているのか」を共著。趣味は料理。
加藤倫子
電通 CXCC プランナー・クリエイティブディレクター
PR発想でファクトやニュースになる具体的な活動作りを仕事の入り口に、広告より手前のアクション・ファクトからコミュニケーションを設計するのが得意。出口のソリューションの手段は雑食で、体験づくり、プロダクト、映像など。自称ミーハーCD。趣味はおしゃべり。
主な仕事:ファミリーマートのWORKS(ファッションショー「ファミフェス」、生理用品-2%、レインボープロジェクト等)/ こども家庭庁 「未来のキミと、未来のおしごと展」/ 森永乳業ピノ「ピノとV6” なかよしで行こう“」等。
今井祐介
電通zero アートディレクター
東京藝術大学美術学部デザイン科卒。国や言語を超えた直感的なビジュアルコミュニケーションを軸に制作を行っている。 主な仕事は、「東京マラソンブランディング」「Hondaハート」「F1ラストラン新聞広告」「CreepyNuts武道館広告」「KOKUYO なまえのないえのぐ」「宝島社 企業広告」 など。 One Showグランプリ、LIAグランプリ、ADFESTグランプリ、ADSTARSグランプリ、ACC賞グランプリ、KOKUYO DESIGN AWARDグランプリ、TOKYO ADC賞、カンヌライオンズ金賞、NY ADC金賞等を受賞。
松江 由紀子
電通 FC室 プロデューサー・プロジェクトデザイナー
東京大学農学部卒業後、電通入社。入社以来大手光学メーカー、ラグジュアリーブランド、食品メーカー、金融機関など様々な業界における総合プロモーションの企画立案から実施までを幅広く担当するほか、自社開発・新規案件プロデュースも手がける。
吉村優作
コピーライター サービスデザイナー
2020年慶應義塾大学法学部卒。日本ラカン学会所属(精神分析)
博報堂グループ、電通デジタルを経て2025年から電通に出向。
2050年構想といった未来に関わるものからTVCMまで、幅広い領域を得意とします。日本郵政「こやぎフィルム」など。
2024年短歌研究新人賞、予選通過です。
長谷川貴広
アートディレクター
芸術大学ArtEZ(オランダ)にてファッションデザイン修士課程修了後、2021年アートディレクターとして電通入社。企業の戦略プランニングからアウトプットまで支援。シンプルかつ遊び心をもったデザインを得意とする。
福島陽
コピーライター/プランナー
2022年電通入社。早稲田大学政治経済学部出身。人の熱があつまる場所が好きで、学生時代は早稲田祭に傾倒。パーソル「#これ誰にお礼言ったらいいですか」、富士フイルム「写真幸福論」、味の素冷凍食品「超ギョーザステーション」、ミツカン「味ぽん」などに関わる。守衛さんに学生に間違われるのが少しうれしい。
大野すみれ
コピーライター
2023年東京大学経済学部卒業。片平ゼミにうっすらといました。
電通入社後は、すみだ水族館「ペンギン相関図」・マイナビ「学生編集部」・マウントレーニア「自分にも愛を。」などを担当。ラジオCMの企画とタピオカが好きです。
各回テーマを持ちながらも、大きく4つの力を鍛えていきたいと考えております。
〇見る力:課題を見つける。表現を見る。世界を見る目の解像度を上げる。
〇分析する力:伝え方を収集する。人の気持ちが動く瞬間を収集する。類型化して一般的な手法にしていく。
〇表現する力:人の心を動かす企画をする。それに伴う表現方法を学ぶ。
〇実践する力:実際のクライアント(予定)を巻き込んで、上記の研究を実践する。
このどれもが、社会人、表現者の基礎体力となるような力となるのは間違いありません。
研究のみならず表現・実践まで落とし込んでいくことが、本授業の醍醐味となるはずです。
●学食売り上げ対抗バトル
「どうやったら学食の副菜の売り上げを上げられるか」をテーマとした企画大会を、授業の一環として開催。学生たちを副菜ごとにチーム分けし、どの副菜をより人気にできるかを競い合いました。
特にオクラチームの企画は、Xで18万人以上の方にリアクションをいただきました。
以下のURLで記事にしていただいております。
●駒場祭:もやけ屋敷
11月の駒場祭では、日常のもやもやを集めた「もやけ屋敷」を開催。「他人がエレベーターを降りた瞬間に閉ボタンを連打する人」や「綺麗に割れなかった割り箸」など、生活の中でもやもやとした瞬間を展示しました。ご来訪いただいた方は300~400人にのぼります。
※写真は、「穴の位置がおかしい顔ハメパネル」
クリエーティブ、アイデア、共創、実践
この授業は集中講義として設定され、選抜試験を想定しております。
初回授業にて、授業概要の説明と選抜試験の課題と日程を発表します。
知識を問うものではなく、あなたのモノの見方や、考え方を知るためのものです。
また、課題発表があるため、受講希望者は初回の授業に必ず出席してください。
全ての授業への参加を前提に、個人ワークの提出内容、グループワークへの貢献、プレゼンテーションの内容により評価します。
授業はすべて対面です。
履修者数は20名前後とします。
受講は、全ての授業に出席することが必須条件です。
kkuwada@g.ecc.u-tokyo.ac.jp
教養教育高度化機構 社会連携部門 桑田光平